既報の通りソフトバンクモバイルは、2007年の夏商戦向けに12機種の第3世代(3G)携帯電話の新機種を発表し、6月上旬以降順次発売する。同社は今回、「スタイル」をキーワードとした。孫正義社長は「(ソフトバンクの)携帯電話は、仕様や機能の追求はしていくが、それだけでは愛着はわかないのでは」と述べ「かっこよくて、ぜひ肌身離さず持って歩きたいような端末」を提案している。また、同社は携帯電話用共通API指向型プラットフォームの開発を表明、異なるメーカーのOS、チップセットに対応し、高度な機能をもつ携帯電話用ソフトウェアの開発期間短縮とコスト低減を図る。
新たなプラットフォーム「Portable Open Platform Initiative(略称:POP-i"ポパイ")」は、携帯電話メーカー各社ごとのハードウェアの差異を超えた、ソフトウェアの統一的な基盤を提供するもの。OS、チップセットの違いにかかわらず、この基盤上に共通のアプリケーションやミドルウェアを載せることができるため、ソフトベンダー側は各ハードウェアに対応したソフトを作らずにすみ、開発の負担が軽減化し、開発期間を短縮するとともにコストを低減することが可能になるという。2008年に投入するいずれかの端末に実装される予定だ。
「POP-i」を基礎とした携帯電話の開発は、既存の携帯電話の開発環境に対して柔軟に対応できるだけでなく、新しい技術やハードウエアに対しても、すでに開発したソフトを引き続き使用することができる。「POP-i」はさらに、標準化団体「Khronos Group」が推進する携帯電話向けAPI仕様「OpenKODE」への対応を検討している。「OpenKODE」は、ロイヤリティーフリーのオープンな業界標準仕様であることから、アプリケーション/ミドルウェア開発が促進されることが期待できるとともに、動画、2D、3D、音声などを包括的に扱うことができ、高品質コンテンツなどの提供も見込まれる。
孫社長は「POP-i」の位置づけについて「チップセットやOSの統一化には一長一短ある。将来的には、一つか二つに絞り込まれることがあるかもしれないが、メーカーそれぞれの技術を尊重することにも意味がある。今回はまず、アプリケーションを共通化した。こちら側から、チップセット、OSを強制しない方がコストダウンにつながる」と指摘、チップセット、OSすべてを収束させようとの考えは否定している。