「Windows Home Server」のセッションは、リモートアクセス機能のデモでスタートした。同製品担当のゼネラルマネージャーであるCharlie Kindel氏は、会場から自宅のホームサーバにアクセスし、セッション用のPowerPointファイルをダウンロードして、プレゼンテーション用のスクリーンに開いた。どこからでも重要なファイルにアクセスできるWindows Home Serverの実践デモである。

Windows Home Server担当のゼネラルマネージャーであるCharlie Kindel氏

セッションのスタートに、Windows Home Serverのリモートアクセス機能でセッション用のPowerPointファイルをダウンロード

Windows Home Serverは、Windows Server 2003をベースとした家庭用サーバ製品だ。「複数のPCを所有し、ホームネットワークを築いている一般家庭」をターゲットにしている。米国で1,900万人、全世界で5,000万人の市場がすでに存在し、2009年には米国で2,160万人、全世界で5,000万人に伸びると予測する。

すでにブロードバンド・ルーターを導入している一般家庭がターゲット

「多機能でも、設定や管理方法が複雑では一般ユーザーは導入しない」とKindel氏。Windows Home Serverは、「ストレージ」「ファイル共有」「バックアップ」「ホームネットワーク上のPC管理」「リモートアクセス」などに機能を絞り込み、それらをシンプルなユーザーインタフェースと共に提供する。導入はサーバ本体をブロードバンドルーターに接続して、電源を入れるだけ。キーボード/マウス、モニターは接続せず、管理者はPCを使ってネットワーク経由でサーバにアクセスして設定・管理する。

手軽なストレージの追加・交換、トラブルにも強い

Windows Home Serverで最も重視されているのはバックアップ機能だ。WinHECではWindows Home Serverに関して、ベーシックとアドバンスドのセッション、トークセッションなどが用意されていたが、いずれのセッションでもバックアップ機能に長い時間を割いていた。

ストレージおよびバックアップについてKindel氏は、使い勝手の良さと信頼性で「RAIDを上回るテクノロジ」をアピールしていた。RAIDを使ったストレージ/ バックアップでは、RAIDの種類を理解し、HDDの構成を考慮する必要がある。上手く使い分けられれば、ユーザーは目的に応じた最適なバックアップ方法を選択できる。ただPCテクノロジに詳しくない一般ユーザーには敷居が高い。

Windows Home Serverでは、ストレージ接続に「Drive Extender」と呼ばれるテクノロジが用いられている。複数の内蔵HDDを接続していても、ストレージはドライブ単位ではなく、全体で1つの仮想ドライブとして管理される。ユーザーは、各ドライブの残り容量や保存するファイルの振り分け方法などを留意する必要はなく、シンプルにサーバ全体のストレージの残り容量だけに気をつければ良い。内蔵HDDを追加したら「Add Drive」すると、ホームサーバで利用できる容量が増加する。削除も同様だ。ストレージとバックアップを主目的とするサーバにおいて、ユーザーが状況に応じて手軽にストレージを追加・交換し、管理できるのは重要なポイントである。

サーバが複数のドライブを内蔵し、自動バックアップがオンになっている場合、バックアップされるデータは、物理的に異なるHDDにコピーされる。OEMに対してMicrosoftは各HDDの状態を示すLEDの装備を要件としており、OEM製のホームサーバでは外部からもHDDのトラブルを確認できる。HDDが故障した場合は、問題のHDDを交換して、修復ウイザードに従ってデータを復旧する。OSはCドライブの専用パーティションに存在する。このドライブが故障した場合、HDD交換後に、ネットワーク経由でPCからリストア・ディスクに含まれるOSイメージをロードするとOSがインストールされる。HDD交換中は重要データのコピーが1つになる。そのため、Microsoftのブースでの説明では、備えを万全にするために外部ストレージにもコピーを作成することを勧めていた。

ディスクの状態を判断するダイアグラムをOEM向けに説明

Windows Home Serverのバックアップは、1台のPCではなく、ホームネットワークにつながる複数のPCのバックアップが目的だ。そのため1台目は指定された全てのデータがコピーされるが、2台目からは異なるデータのみがバックアップされる。例えば、ネットワーク上の複数のPCに同じ曲のファイルが存在すれば、1つの音楽ファイルしかバックアップしない。これによりサーバのストレージ容量を効率的に利用できる。