13日、「DION presents UA SPECIAL FREE LIVE」が東京・表参道ヒルズで行われた。ISPのDIONが10周年を記念して、会員限定で配信している「DION EXCLUCIVE LIVE」はアーティストによるライブを生中継し、さらに後日その模様をストリーミング配信するという二段構えの企画。今までにも川嶋あいのライブ開催および配信、またスガシカオ、絢香なども名前を連ねるなど、そうそうたる顔ぶれが揃っている。今回のパフォーマーは独特の歌声と確立した個性で、男女問わず広く支持されているUA。
この日は応募総数5,400通の中から当選したDIONユーザを含む500余名が来場、歩道に沿って長い開場待ちの列ができていた。赤ちゃんを連れた若い夫婦も見られ、UAの広いファン層を再認識させられた。
会場となる表参道ヒルズ地下3Fの「スペース"オー"[o]」には森の一角を切り取ったような、木々で彩られたステージが誂えてある。今にも鳥のさえずりが聞こえてきそうな瑞々しい雰囲気だ。バックバンドの入場後、真っ白なドレスに身を包んだUAがニコニコしながら登場。「ゆっくりくつろいでいってください。今日はワガママを言ってステージを緑で飾ってもらいました。やっぱりいいよね、緑があると」とリラックスしたMCでライブはスタートした。1曲目は1996年リリースの『情熱』。まさに圧倒的! な声量と存在感だ。歌い終えた後は観客の拍手に両手でピースサインを作って応えていた。
『踊る鳥と金の雨』に続き、「次は新曲です」とアナウンス。「八ヶ岳のライブに行く途中でハクサイ畑を見て。それは生産調整される、食べられない、かわいそうなハクサイなんだけれど、太陽に照らされてすごくキレイな色をしてたの。これって地球の土が育てた緑なんだなーって思ったのね。こんな星、宇宙のどこにもないよ。地球ってスゴイ! そんな気持ちを込めて作りました」……。
そう言って歌い始めた3年ぶりのニューシングル「黄金の緑」は地球と自然への愛が溢れた素敵な詩だった。会場内全体にピースフルな空気が充満したように感じたのは、気のせいではないはずだ。
曲が終わり、UAの書くリリックと歌声にふと、地球の"現在"を考えさせられた。その後『Melody lalala』『トュリ』と新曲が続いた。身も心もとろけてしまいそうなほど心地よいUAの声。日曜の午後、ゆったりとした柔らかいひと時を程よい興奮と共に過ごす。至福だ。
過去にシングルカットされた『リズム』『閃光』『プライベートサーファー』を次々披露。そしてライブでいちばん聞きたくない「最後になってしまいましたー」の声が。会場からは「えー」と名残惜しそうなファンの嘆きが漏れる。トリを飾ったのは『MOOR』。6月20日にリリースされるアルバム『Golden green』でもラストに収録されているこの曲は公開中の映画『赤い文化住宅の初子』の主題歌にもなっている。
「今日はこんな低いところまで来てくれてありがとう!」と地下3Fの会場まで足を運んだファンにUAらしい感謝の言葉。「家に帰るまでが遠足です。また、どこかで会いましょう」、そう言い残し、地球を愛でる歌姫UAは舞台を後にした。
全9曲、1時間近くのライブはUAというアーティストが思うこと、伝えたいこと、問いかけたいこと、全てを感じることができた濃密な逢瀬だった。筆者はヒールで立ちっぱなしはキツかったため、途中から靴を脱いで必要以上にリラックスした状態で聴かせていただいた。学生の頃から大好きだったUA。仕事としてライブに行ける幸せを噛み締めながら、"遠足"の帰路に着いた。家に着くなりUAのCDを引っ張り出したことは言うまでもない。
このライブの模様は6月1日より「DION EXCLUCIVE LIVE」にてストリーミング配信される。視聴はDIONの回線会員限定。
PROFILE UA
1995年ビクタースピードスターから「HORIZON」でデビュー。その個性的なルックスと存在感のある歌声で注目を集める。シングル「情熱」が大ヒットし、認知度も一躍全国に拡大、アルバム 「11」は90万枚を超えるセールスを記録。以降「悲しみジョニー」「ミルクティー」など数々のヒット曲を生む。映画「水の女」主演、NHK教育テレビ『ドレミノテレビ』うたのおねえさんなど、その活動は多岐にわたる。2007年、5月2日に3年ぶりのニューシングル「黄金の緑/Love scene」リリース。5月12日公開映画『赤い文化住宅の初子』主題歌「Moor」提供。6月2日公開松本人志第一回監督映画『大日本人』出演。6月20日2年ぶりニューアルバム「Golden green」発売決定、あわせて8月31日より全国ツアーUA TOUR「Golden green 07」も決定している。