米Motorolaは5月15日(現地時間)、同社携帯電話製品の最新ラインナップを発表した。アップデートされたのは、世界的大ヒットで同社躍進の原動力となった薄型携帯の次世代版「RAZR2」、QWERTYキーボードを搭載したスマートフォンの「MOTO Q」、音楽携帯の「ROKR Z6」、ビデオ再生機能などが強化された新ラインナップの「MOTO Z8」など4製品。それぞれHSDPA対応バージョンが追加されてラインナップの充実が図られたほか、基本機能の強化で使い勝手が向上している。

RAZR2

Motorolaの代名詞的存在になったRAZRの新版では、フリップ筐体外側にあるスクリーンサイズが従来比2倍に拡大しているほか、メインスクリーンのほうも2.2インチのサイズそのままに解像度が2倍になっている。本体の厚みも従来より2ミリメートルほど薄くなっており、薄型携帯としての正統進化を遂げている。

RAZR2 V9

機能面では、CrystalTalkによりノイズの多い環境でもボリューム等を自動調整してクリアな通話が可能なほか、RAZR2を持つ他のユーザーにリアルタイムでのビデオ映像転送を可能にする「See What I See」機能を備えるなど、よりコミュニケーション機能が強化されている。だが最大の特徴はLinuxベースのOSを搭載し、Javaアプリケーションを走らせられるようになった点で、これによりプラットフォームとしての幅が広がった。フルブラウザ搭載によるHTML表示のほか、2GBの標準メモリ、従来比10倍の速度を持つARM 11プロセッサ採用、USB 2.0による周辺機器との高速通信などが、プラットフォームのさらなる強化をサポートする。

今回発表されたのはV9(3G HSDPA)、V9m(EVDO CDMA)、V8(GSM)の3バージョンで、2007年7月に世界の複数地域に向けて出荷が開始される。

MOTO Q

Windows Mobile 6を搭載したMOTO Qの新バージョンでは、従来のCDMAバージョンに加え、新たにGSM対応版のMOTO Q 8と、HSDPA対応版のMOTO Q 9が追加された。新たにHSDPAに対応したことで、屋外でも最大3.6Mbpsのダウンロード機能が利用できるようになり、スマートフォンとしての利用の幅が広がった。新製品はまず今週中にイタリアでの提供が開始され、今後数カ月内に複数の提供地域へと拡大される見込みだという。

MOTO Q 9

MOTO Q 8

ROKR Z6

音楽携帯ROKRの従来バージョンではApple iTunesの音楽プレイリスト再生が可能な点がセールスポイントだったが、新製品ではNapsterとの提携によるオンライン音楽ライブラリへのアクセスのほか、WMAファイルやDRMのサポートなど、さらなるメディアファイルサポートの充実が特徴となる。

RAZR2同様にLinux/Javaサポートによりシステムが一新されており、ポータブルMP3プレイヤーとしての機能強化が図られている。Windows Media DRM 10とMTP(Media Transfer Protocol)サポートでWMAファイル再生が強化されているほか、Windows Media Player 10/11によるプレイリスト管理、USB 2.0による高速ファイル転送、最大2GBのmicroSDサポートなど、PCとの親和性や音楽プレイヤーとしての使い勝手が向上している。また「Napster To Go」のサブスクリプション契約を行うことにより、ROKR Z6を通じてNapsterの300万曲あまりが網羅された音楽ライブラリの利用が可能となる。

ROKR Z6

ROKR Z6は5月中に中国を中心としたアジア地域でフルサービスが開始されるほか、南米、欧州、北米などの地域にも順に出荷が開始される。

MOTO Z8

ROKR Z6が音楽再生に特化したエンターテイメント携帯だとすれば、MOTO Z8は映画コンテンツやTV閲覧などの静止画/動画再生に特化したエンターテイメント携帯だといえる。最大32GBの外部メモリをサポートし、秒間30フレームでの動画再生が可能など、他のラインナップと比較しても動画再生に必要な大幅な機能強化が図られた点が特徴となる。QVGAサイズ液晶による動画再生のほか、デジタル8倍ズームによる動画記録も可能。HSDPAの3.6Mbpsダウンロードにも対応し、FlickrやMySpace、YouTubeのコンテンツの閲覧のほか、アップロード機能で撮影したコンテンツの共有を楽しむこともできる。本体には映画「The Bourne Identity」が記録された512MBのmicroSDメモリが標準添付されており、購入後すぐにでも動画携帯としての機能を体験することが可能。

MOTO Z8

6月初旬より欧州ならびにアジア地域での出荷が開始され、他の地域にも順に展開されていくことになる。