総務省は15日、大容量データを無線通信でやりとりできる「広帯域移動無線アクセスシステムの免許方針案」を明らかにした。同システムの導入を予定している2.5GHz帯では、2545MHz~2625MHzの80MHzを利用する考えで、この周波数帯のうち、2545MHz~2575MHzおよび2595~2625MHzの30MHzずつを全国展開する2社の移動通信事業者へ割り当てる。申請者は、第三世代移動通信事業者でないもの、とされ、新規事業者を優先している。認可を受けた事業者は、3年以内に運用を開始しなければならない。また、2575MHz~2595MHzの帯域のうちガードバンドを除いた10MHzの帯域を、各地域における固定的な利用へ割り当てる意向だ。

2.5GHz帯の周波数割当てのイメージ図(総務省の報道資料より)

同システムで用いられる通信方式は、モバイルWiMAX(IEEE802.16e-2005)と次世代PHS方式とみられる。同省では、このシステムで実現できる環境として、無線によるインターネットへの常時接続ができ、どこでもブロードバンドでの利用が可能で、都市部を中心に広域をカバー、中速程度の移動が可能、などと考えているとともに、ブロードバンドのネットサービスを受けるための条件が不利な地域の、有線回線の代替として安価に提供できることを想定している。

今回の方針案では、第三世代移動通信事業者は割り当ての対象から外され、NTTドコモなどNTTグループ、KDDI、ソフトバンク、イー・アクセスなどは除外されることになる。ただし、1/3未満の出資による事業での参加はできるとされている。

同省では、方針案について、意見を募集し、それを踏まえて電波監理審議会に諮問する予定だ。その後、同審議会から適当との答申が得られた場合には、開設指針を制定し、開設計画の認定の申請を受け付け、申請があった開設計画は、同省が審査、電波監理審議会への諮問を経て、今年秋頃までに認定を行う。

2.5GHz帯での通信サービス事業については、ADSLサービスを展開するアッカ・ネットワークスがWiMAXで、PHSのウィルコムが次世代PHSで参入意欲を示しており、アッカでは今回の同省の方針について「広帯域移動無線アクセスシステムの免許方針案が、既存の携帯電話事業における不足周波数の補完ではなく、新規参入を推奨するものであった点には、当社のビジネスプランに合致しており歓迎するとともに、当社が目指す、WiMAXでのデジタルデバイドの解消ならびに都市部でのオープンなビジネスモデル戦略をもって、総務省が目指すモバイルブロードバンドの健全な発展へ寄与する方針」としている。