米AMDは14日(現地時間)、DirectX 10世代の新GPU「ATI Radeon HD 2000」シリーズを発表した。旧ATI Technologies買収後としては初めて投入されるグラフィック新製品で、現行の「Radeon X1000」シリーズの後継となる。デスクトップ向けに5種類、モバイル向けに5種類の計10種類がラインナップされている。

フラグシップモデルとなる「ATI Radeon HD 2900 XT」

これまで、開発コードネーム「R600」として知られていた製品。正式名称に「HD」の文字が入ったのは、「昨今、市場は一気に"High Definition"に舵を切っている。また多くの方に利用してもらえるように、"High Demand"の意味も込めた」(森下正敏・日本AMD代表取締役社長)ためという。

デスクトップ向け5製品

デスクトップ向けには、「ATI Radeon HD 2900 XT」「2600 XT」「2600 PRO」「2400 XT」「2400 PRO」の5種類がラインナップ。エンスージアスト向けのHD 2900 XTのみ80nmプロセス(TSMC 80HS)だが、メインストリーム向けのHD 2600シリーズ、バリュー向けのHD 2400シリーズでは、初めて65nmプロセス(同 65G+)が採用された。

メインストリーム向けのHD 2600シリーズ

バリュー向けのHD 2400シリーズ

HD 2000シリーズの特徴となるのは、NVIDIAと同様に統合型シェーダアーキテクチャ(Unified Shader Architecture)を採用したことだ。旧ATIはXbox 360向けにGPU「Xenos」を開発、ここで初めて同アーキテクチャを採用していたが、新GPUにはこの第2世代を搭載しており、Radeonとして初めてDirectX 10 Shader Model 4.0をサポートした。

R600ことHD 2900 XTのアーキテクチャ

リング型のメモリバスも採用された

統合型シェーダアーキテクチャでは、従来のピクセルシェーダ、バーテックスシェーダの区別はなく、全て「ストリームプロセッサ」で処理されることになる。2900 XTにはこれが320ユニット搭載されており、475ギガフロップスという処理性能を実現。またメモリインタフェースも、従来の256ビットから512ビットに拡張されている。

デスクトップ向けラインナップ
GPU HD 2900 HD 2600 HD 2400
ストリームプロセッサ 320個 120個 40個
コアクロック 740MHz 600~800MHz 525~700MHz
メモリインタフェース 512bit 128bit 64bit
メモリタイプ GDDR3 GDDR4/3/DDR2 GDDR3/DDR2
メモリ容量 512MB 256MB 128/256MB
メモリクロック 825MHz 400~1100MHz 400~800MHz
製造プロセス 80nm 65nm
トランジスタ数 7億個 3億9千万個 1億8千万個
ボードの消費電力 215W以下 45W以下 25W以下

Native CrossFireをサポートするほか、ビデオ支援技術「Avivo HD」も搭載。これは新たに「UVD」(Unified Video Decoder)を採用したもので、従来のAvivoに比べて、HDビデオ再生時のCPU負荷軽減、消費電力削減が可能となっている。

「Avivo」と「Avivo HD」の違い。デコード処理の全てをVGA側で行うために、CPUの負荷を軽減する

HD DVD再生時のCPU負荷。CPU処理時(青)に比べ、UVD処理時(赤)には大幅に負荷が小さくなっている

新GPU搭載製品の店頭価格は、2900 XTが399ドル程度、2600シリーズが99~199ドル程度、2400シリーズが99ドル以下となる見込み。なお2900 XTについてはすでに提供が開始されており、Sapphire、PowerColor、GECUBE、玄人志向などの製品が、国内でも同日より発売となっている。2600/2400シリーズについては、6月後半の出荷となる予定だ。

モバイル向け5製品

モバイル向けには、「ATI Mobility Radeon HD 2600 XT」「2600」「2400 XT」「2400」「2300」が発表された。新GPUを搭載するノートPCの価格帯は、HD 2600シリーズが1,199ドル以上、HD 2400シリーズが999~1,199ドル程度、HD 2300シリーズが799~999ドル程度になる見込み。

モバイル向けラインナップ
GPU 2600 XT 2600 2400 XT 2400 2300
ストリームプロセッサ 120個 40個 -
コアクロック(MHz) 600~700 400~500 500~600 350~450 450~480
メモリクロック(MHz) 700~750 550~600 600~700 400~500 400~550
メモリインタフェース 128bit 64bit 64/128bit
製造プロセス 65nm 90nm
DirectX対応 DX10 DX9.0c
PowerPlay 7.0 6.0
UVD

デスクトップ向けと同じく、DirectX 10に対応(HD 2300のみDirectX 9)。電力管理機能「PowerPlay」は「7.0」にバージョンアップしており、従来よりもアイドル時の消費電力を25%削減、バッテリ持続時間を15~32分程度長くすることができるという。

65nmプロセスの採用により省電力性が向上

電力管理機能「PowerPlay」のバージョンによる違い