米ワシントン大学(University of Washington)は、米国内の2歳未満の乳幼児のマルチメディア視聴実態などを調査した最新レポートを発表した。生後間もない段階から、複数メディアの強い影響力にさらされる現代の子どもたちの様子が浮き彫りにされている。
同レポートは、同大学が米国ワシントン州シアトルのSeattle Children's Hospital Research Instituteと協力して、米国内で2歳未満の子どもを育てる1,000世帯を対象に実施した、電話インタビューに基づく。
調査結果によれば、ほぼ毎日のようにTV/DVD/ビデオを見ている生後3カ月の乳児は実に4割に上っている。2歳の幼児になると、その割合は9割を突破して、1日の平均視聴時間は1時間半を超えた。TV/DVD/ビデオを毎日視聴し始める平均年齢は、生後約9カ月との結果も明らかになった。
乳幼児期から子どもにTV/DVD/ビデオを積極的に見せる理由として、親がトップに挙げたのは教育的なメリットで、子どもの脳の発育などに良い影響を及ぼすことへの期待が高かったという。しかし、実際に乳幼児期の子どもたちが視聴しているTV/DVD/ビデオの約半数は、教育的なカテゴリーの内容ではなかった。また、乳幼児と一緒に座り、必ず親子で共に視聴するようにしているとの回答も、全体の約3割に過ぎなかったようだ。
今回の調査プロジェクトを率いた、同大学のFrederick Zimmerman助教授は「3歳前の子どもたちが過度にTVを視聴するならば、集中力の低下、暴力的な行動、知覚力の発達障害などの問題を抱えることなどが明らかになっている。幼い時からTVの影響にさらされる子どもたちが急増しており、米国内で深刻な状況を呈しつつある」とコメントした。