オリンパスは25日、発がん・転移の機構解明や薬効の研究に有効なin vivo生体観察システム「OV 110」を5月7日より発売すると発表した。幅広い観察倍率で全体像から細胞レベルまで1台で観察することができる点が特徴。同システムは6月20日から3日間、東京ビッグサイトで開催される「第6回国際バイオEXPO」などで展示する予定。価格は28,000,000円。国内で年間30台の販売を目指す。

発がん・転移の機構解明や薬効の研究に有効なin vivo生体観察システム「OV 110」

がんは、極めて複雑な機構を持ち、がん細胞の浸潤や転移など、その全貌を解明するには未だ至っていない。また、日本では1981年以降、がんが死亡原因の第1位を維持しており、今後は高齢化社会の進展とともにがん患者のさらなる増加が懸念されている。こうした現状を踏まえ、厚生労働省と文部科学省は2004年、「第3次対がん10か年総合戦略」を策定。がんの罹患率・死亡率の激減を目標とした政策を推進している。その中でも、基礎研究成果をより効果的な予防、診断、治療につなげるトランスレーショナルリサーチが特に重要と位置付けている。そこでオリンパスでは、トランスレーショナルリサーチにおいてニーズが高まっている、生体内の現象を分子レベルで可視化する「分子イメージング装置」の開発に注力。その中でも蛍光を用いた分子イメージング装置のラインナップを強化している。

「OV 110」は蛍光を用いた分子イメージング装置で、昨年5月に発売した「OV 100」の後継機。小動物を全体像から細胞レベルまで1台で観察でき、がんの転移や血流量や新生血管数の変化などをリアルタイムで観察することができるとしている。

また、0.14倍から16倍までの広い倍率範囲を1台でカバー。たとえば、発がんから転移、浸潤までのメカニズムを固体、組織、細胞レベルで解析することも可能としている。また、可視域から近赤外域まで幅広い蛍光観察が可能。さらに、蛍光たんぱくの自家蛍光を抑えるフィルタの採用や、カラーカメラ以外に高感度な白黒カメラも搭載できるようになったことで、従来より鮮明な画像を取得できるようになったとしている。外形寸法は550(W)×554(D)×1000(H)mm。重さは200kg。