実験動物中央研究所と島津製作所は23日、2種類のがん転移モデル細胞系の解析から、がん転移に共通して量的な変化を示す9種類のたんぱく質を発見したと発表した。これらのタンパク質の働きを詳しく調べることで、膵臓がんや大腸がんの肝臓への転移メカニズムの解明、さらには、その治療・診断薬の開発が期待されるとしている。今回の研究成果は、今年5月に広島で開催される第55回質量分析総合討論会で発表する予定。
同研究は、実験動物中央研究所が開発した、がん研究で一般的に用いられるマウスよりもさらに免疫能を抑えた超免疫不全マウス「NOGマウス」と島津製作所独自のがん細胞の増殖に関係するたんぱく質の量的変動解析システム「NBSバイオマーカー探索システム」を採用。がん細胞の増殖に関係するたんぱく質の量的変動を大腸と膵臓で比較したところ、共通に量的変化を示すタンパク質9種類が見つかったという。
今後、共同研究チームでは、見つかった9種類のタンパク質を、NOGマウスを利用したモデル解析系でさらに詳しく調べることにより、膵臓がんや大腸がんの肝臓への転移メカニズムの解明、さらには、その治療・診断薬の開発を進めていきたいとしている。