日本AMDは21日、秋葉原のTSUKUMO eX.店頭にて「DIY の未来予想図II+ ~ ところでII+って何? え?! 2+ ?! ~ 」というちょっと長いタイトルのユーザーイベントを開催した。
このイベントは、ゴールデンウィークに向けて、AMD CPUでのPC自作の楽しさを伝えるイベント。店頭ブースには、Athlon 64 FXを搭載したQuad FX PCが2台、そしてAMD 690Gを搭載した小型・省電力PCが1台用意された。
AMD 690Gマシンは、シングルコアだがTDP 45W版のAthlon 64 3800+を搭載し、CPUはファンレスヒートシンクで冷却することで低消費電力をアピール(いちおうケース内の換気に注意すれば…とのアドバイス付き)。Quad FXマシンは、1台がデモ用システム、そしてもう1台は兄貴こと日本AMD プロダクトマーケティング本部 土居憲太郎氏が(個人用に)会社で制作したネオン管と水冷キットを組込んだシステムが1台。
注目はQuad FXマシンの活用法。ひとつは兄貴によるプレゼン内で披露された方法で、(昼休み中に)会社のノートPCからリモートアクセスし、自宅で録画した番組をPSP向けにエンコードするという活用方法。就寝時、Quad FXでエンコードしておいた番組をPSPに転送し、ベッドに横になりながら試聴できるとのこと。
もうひとつはプレゼン内で紹介された目から鱗がとれる活用法。既に旧式になったAthlon XP 1400+のノートPC(ここでは娘さんのPCという設定)ではHD映像の再生には処理能力が足りない。そこで、旧式PCからQuad FXに家庭内LANを通じリモートアクセスし、Quad FX側のデスクトップからHD映像を再生させることで、なんと旧式PCでもコマ落ちなく視聴できる、というもの。
このリモートアクセスに関しても、例えばヴァーチャルマシン(仮想PC)を用いれば、Quad FX側も同時に利用できる。この実証デモとして、Quad FX側のVistaでA列車で行こうベンチマークを、旧式PCからアクセスするQuad FXの仮想PC上のWindows XPでさらにShadeのレンダリングを行った。これでお父さんもお母さんを説得するために「古いPCを有効利用できる!」という名目が作れる…かも。
これぞメガタスキングなベンチマーク(Vista)、レンダリング(仮想PC+リモートアクセス)を同時実行というデモ |
あまりQuad FXである意味は無いが…100個のメモ帳によるフリップ3Dアニメーション。仕事とはいえ100個作るのは大変らしい |
なおロードマップも紹介されている。「兄貴の部屋2+」で紹介された「CPUの未来予想図」では、まず、現在のCITIESコア(同社では都市名にちなんだコードネームの現行CPUをこう呼んでいるとのこと)に、間もなくTDPが45WのAthlon 64 X2が複数追加されるとのこと。そしてその後2007年下半期に控えるのが(星座の名前にちなんだコードネームの)STARSコア。STARSコアでは、現行のAthlon 64 FXシリーズの後継としてネイティブ・クアッドコアの「Agena FX」、メインストリームデスクトップ向けにはL3キャッシュ共有型のデュアルコアCPUが投入されるという。
ところで、今回のイベント名でも暗示されていた「II+」、Socket AM2+についても触れた。Socket AM2+では、HyperTransport 3.0に対応すること、Power Planeを2本持つことで「Split Power Plane」に対応、それに関連して「Enhanced Cool'n Quiet」が利用可能になるとされる。さらに重要なのは、STARSコアのCPUは、Socket AM2のプラットフォームでも(一部HT3.0等の機能は利用できないが…)利用でき、逆にSocket AM2+では、Socket AM2用のCITIESコアのCPUも使えるという点。
そして、まとめとして各ユーザーセグメント毎のアップグレード・プランが紹介されたが、その中にはさりげなく"もうすぐ"R600(?)や、HT3.0に対応するとされるAthlon 64 FX向けのSocket 1207+、07年下半期にSocket AM2+の1P Quad Coreなどがちりばめられていた。4月に値下げも行われ、より組みやすくなったAthlon 64 CPUだが、まずここでAM2マザーボードを、そのままSTARSコアへも段階的アップグレード可能ということで、「既存の規格を使って、スムーズに次世代に移行できる」とアピールしていた。