初日最後の基調講演は、Eric B. Kim上席副社長兼デジタルホーム事業本部長。まずはエンスージアスト、メインストリーム、ライフスタイル、エントリーという4つの分野ごとに、同社のPC戦略について説明した。
エンスージアスト向けに関しては、「Skulltrail」(コードネーム)と呼ばれるプラットフォームを提供予定であることが明らかにされた。これはクワッドコア×2CPU(計8コア)構成が可能となるもので、グラフィックはPCI Expressスロットが4本。CPU×2ソケット、VGA×4スロットということで、AMDの「Quad FX」対抗であることは明白だが、チップセットなど詳細に関する言及は一切なかった。
メインストリーム向けについては、G965チップセットでゲームも快適にプレイできることが強調されたが、特に新しい話題はなかった。DDR3メモリ、1,333MHz FSBなどをサポートする「3シリーズ」チップセットが今年後半に投入予定であることは既報の通り。
一方、ちょっと注目なのはライフスタイル向け。近年、モバイル向けCPUをデスクトップPCで利用するMoDT(Mobile on DeskTop)に力を入れるメーカーも増えてきたが、同社も「Santa Rosa DT」としてプラットフォームを投入するという。TDP 35W、FSB 800MHzのCPUを搭載し、モバイル向けのSanta Rosaと同様に、ワイヤレスの802.11nもサポートする。
また昨年秋のIDFにて、同社はPCデザインコンテスト「Intel Core Processor Challenge」の開催を発表していたが、その授賞式も行われた。これは賞金総額100万ドルという大がかりなコンテストで、半年程度の期間しかなかったにもかかわらず、30以上のユニークな製品の応募があったという。1位となったのは韓国TriGem Computerで、賞金として70万ドルが贈呈されたほか、第2回目の開催も予告された。2回目の結果については、2008年秋のIDFで発表される予定だ。
最後はエントリー向け。この分野には引き続きコスト重視のPentium/Celeronが投入されるが、「新しいアーキテクチャでPentiumデュアルコア、Celeronが登場する」とKim氏。TDPは65Wということで、ついにローエンドCPUまでCoreマイクロアーキテクチャになることが示唆された。
分野ごとの戦略説明のあと、話題はやはり45nm世代のPenrynに。デスクトップ向けPenrynのクワッドコア「Yorkfield」を使用した動画エンコードのデモを行い、Gelsinger上席副社長の基調講演でも紹介があったように、65nm世代に比べて40%の性能向上が見込めることを実際に示した。
また企業向けプラットフォームである「vPro」を、コンシューマ向けにも出していく計画があるという。「PCは生活の中の重要な要素になってきている。コンシューマにとっても、PCはミッションクリティカルになった」とKim氏。ブランド名について言及はなかったが、こういった管理機能を2008年に投入する予定とのこと。
今回のKim氏の基調講演の主要テーマの1つは、「PCとTVの融合」である。氏はキーワードとして4つの「C」(Control、Choice、Clarity、Community)をあげた上で、「重要なのは共通したアーキテクチャ」とコメント。それを実現する製品として、来年上半期にもIAコアを搭載するシステム・オン・チップ(SoC)を投入することを明らかにした。
これはCE機器向けとなる製品で、強力なAVパイプライン、PCクラスのグラフィック、セキュリティ、I/Oなどを備え、HD TV、ネットワーク接続されたメディアプレイヤー、STBなどでの利用が期待できるという。「我々の目標は、PCで進めてきたことを、CEの世界にももたらすことだ」とKim氏。「CE業界をインターネット参加へと向けていこう」と呼びかけた。