シャープは17日、携帯電話などモバイル機器向けの液晶ディスプレイ「モバイルASV液晶」で、2,000:1の高コントラスト比を実現する新製品を開発したと発表した。同社によれば、2型クラスのモバイル機器用液晶ディスプレイとしては最もコントラスト比の高い製品といい、あわせて176度の広視野角、8msの高速応答を実現している。サンプル出荷は今年秋、量産出荷は2008年の予定。
同社では液晶テレビ「アクオス」でASV液晶技術を培い、コントラスト・視野角・応答速度の各性能を高めてきたが、これに高精細システム液晶技術を組み合わせることで、液晶テレビの高画質性能をモバイル向け液晶にも適用した。同社従来品のモバイルASV液晶に比べ、コントラスト比は500:1から2,000:1へ、視野角は160度から176度(上下・左右・斜め)へ、応答速度は25msから8ms(黒-白間)へとそれぞれ性能を向上させている。これにより屋外や斜めといった悪条件下での視認性をさらに高めるとともに、動画再生時の残像感を抑えた。また、消費電力も従来品並みの低消費電力となっている。
今回発表された試作品のサイズは2.2型で240×320(QVGA)だが、技術的には大型化も可能という。また、透過型・半透過型いずれの液晶ディスプレイにも使用できる。まず今年秋にワンセグ対応携帯電話用としてサンプル出荷を行い、その後10.4型以下の中・小型液晶ディスプレイ向けにラインナップを順次拡大し、デジタルカメラ、カーナビ、その他今後動画機能の充実が見込まれるモバイル機器全般に応用範囲を広げる。
価格は同等サイズの従来品と比べ1.3倍以内を目標にしており、当初はハイエンド、ミッドレンジ製品をターゲットとしているが、搭載機器側の設計はほぼそのままで従来品との置き換えが可能といい、将来はローエンド製品への展開も視野に入れている。売り上げ目標は2008年度の1年間で1千億円以上。