「WILLCOM FORUM & EXPO 2007」の会場でウィルコムは、20Mbps以上の高速無線通信を可能にする「次世代PHS」のデモンストレーションを行った。ハイビジョン映像も余裕をもって伝送できる様子が紹介されていた。

次世代PHSの実験設備。左下の箱が端末にあたる

19~21Mbpsの間で安定した速度が得られていた。画面の値はいわゆるスループットにあたり、通信路のリンクスピード自体は20Mbpsよりさらに高速という

次世代PHSはOFDMA/TDD方式を採用する高速無線通信規格で、移動体通信で伝送速度20Mbps以上の実用化を目指している。総務省の諮問機関である情報通信審議会では、2.5GHz帯を使用する次世代の無線アクセスシステムの方式として、モバイルWiMAXやIEEE802.20とともに次世代PHSを検討しており、この3月にはITU-RでもBWA(Broadband Wireless Access)システムに用いる無線インタフェースの標準のひとつとして勧告化されている。

デモンストレーションでは実験用の基地局と端末を用意し、ビットレート10Mbpsを超えるHD解像度の映像を無線伝送。スループットは19~21Mbpsの間で安定しており、一切コマ落ちなくハイビジョン映像が再生されていた。現在2.5GHz帯を使って実証実験が行われており、今後仮にウィルコムが同周波数帯の免許事業者として選定されれば、2009~2010年ごろからサービスを開始することになるのではないか、とのこと。また、1フレームがダウンリンク2.5ミリ秒/アップリンク2.5ミリ秒の5ミリ秒という構成は現行のPHSと共通しており、この点ではPHS/次世代PHSのデュアルモード端末も作りやすいという。

三洋電機製の端末。実際のサービス時はこれがカードサイズなどに小型化されることになる

さらに、デモンストレーションとあわせて実証実験に利用されている電波測定車も展示された。ロゴマーク等の塗装以外は普通のミニバンに見えるが、電源供給のための発電機や、アンテナケーブルを外へ出すための穴、試験設備の設置台などさまざまな造り替えが施されている。

次世代PHS試験のためにウィルコムが導入した測定車。SUPER GTのスポンサー社だけあって、どことなくレーシーなイメージか

京セラ製実験端末。現時点では先の三洋電機製端末との通信は行っていないが、近いうちに実現するという