W-SIM用のPHSチップセットを開発するエイビットは、従来のW-SIMに通信以外の機能を追加した高機能W-SIMの試作品を出展した。電源を供給するだけで外部CPUなしで動作する簡易言語搭載W-SIMや、GPS内蔵W-SIMなどが展示されていた。

簡易言語搭載W-SIMは、シリアル通信でアクセス可能な簡易BASICインタープリターをW-SIM内で実行可能で、バッテリーなどで電源さえ供給すれば、本来「ジャケット」にあたるSIM STYLE端末と組み合わせて使用するW-SIMを単独で動作させることが可能。用途例として、公園などの公共空間に設置することを想定した緊急通報装置が展示されており、太陽電池で駆動させれば電源線も電話線も敷設せずにこのような装置の設置が可能になる。そのほかにも、セキュリティ装置に組み込んで定期的に位置情報を通知するといった使い方が考えられている。

電源さえ供給してやればW-SIMが単独で動作する。黒い箱はジャケット(SIM STYLE)ではなく電池ボックス

このような緊急通報装置の設置のために有線の通信回線を敷設する必要がなくなる。太陽電池を組み合わせれば電源線も必要なくなる(ただし、信頼性は別途考慮する必要がある)

この簡易言語実行機能は、すでに同社が量産を行っているPHSチップセット「AX20P」シリーズで実現可能で、新たなハードウェアの開発は必要ないという。AX20Pシリーズは同社関連会社のアルテルから発売されているW-SIM「RX420AL」に採用されているが、言語やインタフェース仕様が確定していないため、現在の製品ではまだ同機能を使用することはできないとされている。

GPS搭載W-SIMは、SiRF Technology製の感度に定評あるGPSチップ「SiRFstarIII GSC3LTif」を内蔵したW-SIM。PHSは基地局ごとの電界強度を元におおよその位置情報を得ることができるが、GPSを利用することでさらに高精度の位置情報を利用できる。

定評あるGPSチップ「SiRFstarIII」を組み込んだW-SIMの試作品