Virtualization--仮想化というと、通常はUtilization、つまり、ハードウェアの有効利用を目指して行われる。Utilizationの視点で見れば、WebLogic Server Virtual Edition(以下、WLS-VE)はOSのオーバーヘッドによるパフォーマンス低下を減らすことができ、強力だ。

しかし、WLS-VEはUtilizationだけにとどまらず、Liquid--迅速さと柔軟性の実現でもメリットが大きい。

仮想化された複数のWLS-VE間で、Javaアプリケーションを負荷などに応じて容易に移動させることができるからだ。さらに、2007年の第3クォーターに予定されているWebLogic Liquid Operations Control(WLLOC)では、仮想化されていないWLSも含めて同様の管理を行うことができるようになる。

BEA Systems Senior Director, Product MarketingのMike Piech氏は「WLS-VEにより、Javaアプリケーションはアプライアンスのようにどこでも簡単に利用できるものとなる」とする。この特性はBEAのLiquid戦略ひいてはSOA時代のコンピューティングにこそ重要となるだろう。SOAを導入するメリットのひとつは、サービスを迅速かつ柔軟に追加・変更・再構成できることだからだ。

Piech氏は、WLS-VEはWLS 9.2ベース、これを引き継ぐ形でJ2EEのスペックを満たしているとする。また、Liquid VMはRockitベースで、同様にJ2SEのスペックを満たしているという。つまり、WebLogicプラットフォーム用のアプリケーションでなくても稼働は可能ということだ。WLLOCについては、"any Java apps"を稼働可能とされている(ただし、Liquid VMの単体提供はいまのところ予定されていない)。

前述のWLS-VE発表時、筆者はこれらのソリューションが、WLS-VEを前提とした限定的なものになるという予想を書いたが、実際はかなり適用範囲の広いものになるのかもしれない。そうなれば、BEAは、様々なサービスを柔軟に提供する、まさにSOAのための仮想化インフラを提供するベンダとして、ユニークなポジションを手に入れることになる。

こうしたBEAの仮想化ソリューション、国内では今年の第2クォータから順次提供が開始されるという。11日に発表されたWLS 10とあわせて、「SOAを実現する強固なOS」といえるスタックになりそうだ。