東京ビッグサイトで、フラットディスプレイの展示会「Display2007」が、開催されている。主催はリードエグビジョンジャパン。期間は4月13日まで。

新世代パネルを搭載した薄型テレビが多数展示される

今年で3回目を数えるDisplay2007では、同時開催されている開発/製造関係の展示会「FINTECH JAPAN」と合わせて700社が参加しており、同分野においては世界最大の展示会となっている。また、各メーカーの最新モデルや試作モデルが多数展示されており、この会場で初めて一般公開されるというものも少なくない。というわけで、我々ユーザーに直接関係してくる、薄型テレビを中心とした最新動向をお伝えしていきたい。

アドバンスドディスプレイオブイヤー「ディスプレイモジュール部門」グランプリはVIERA PZ600シリーズ

展示会初日となる11日、「第12回アドバンスドディスプレイオブイヤー」(ADY)のグランプリが発表されている。ADYでは、フラットパネル関連の製品をディスプレイモジュール/製造装置などの4つのカテゴリーに分け、その中でそれぞれ優秀賞を選出。さらに各分野でもっとも優れた製品にグランプリをあたえている。

民生用のテレビが含まれるディスプレイモジュール部門でグランプリを獲得したのは、松下電器産業のデジタルハイビジョンプラズマテレビ「VIERA PZ600」シリーズとなった。また、優秀賞には、日本ビクターの120Hz高速液晶ドライバー搭載液晶テレビ「EXE」シリーズが選ばれている。

ディスプレイモジュール部門のグランプリは松下電器産業の「VIERA PZ600」シリーズ

プラズマも液晶も動画解像度のアップがテーマ

大型化、フルハイビジョン化という方向性は、当然すべてのメーカーで進めているが、今年の展示会で目立ったのは動画解像度のアップ。各ブースでの目玉となっている。

プラズマの動画解像度の高さをアピールしているのが、日立製作所と富士通日立プラズマディスプレイのブース。液晶テレビと比較すると原理的に動画に強いプラズマディスプレイでは、ハイビジョンパネルで720本以上、フルハイビジョンモデルでは900本以上という高い動画解像度を実現している。

また、同社のブースでは、iVDRに対応した「iVポケット」を搭載した「Wooo 01」シリーズを初公開している。内蔵ディスクとリムーバブルディスクの組み合わせというのは、次世代レコーダー市場をも食いかねない可能性があるが、より一般的なeSATAドライブの外付けに対応したモデル(東芝REGZA)なども存在するため、果たしてiVDRがどこまで普及するか、今後も注視していく必要があるだろう。

今回グランプリを受賞した松下電器産業のブースでは、グランプリを受賞したVIERA PZ600と、先日発表された新モデル、PZ700が展示されている。注目を集めているのは、やはり、プラズマとしては世界最小のフルハイビジョンモデル「TH-42PZ700」。セルサイズの微小化により、輝度の取り方などに苦労があったとのことだが、圧倒的に緻密な映像に立ち止まって見入る人も多い。

動画再生能力の向上をアピールしているのはプラズマ陣営だけではない。日本ビクターのブースでは、倍速駆動液晶パネルを搭載した「EXE」シリーズを展示。60Hz駆動の場合との動画表示能力の差をデモンストレーションしている。また、120Hz駆動の47V型フルハイビジョンテレビも参考出品。筆者が実際に見た印象では、動画での残像は感じられなかった。なおこのモデルは、今年の早い段階で市場に投入したいとのことだ。同社のブースでは、薄型のプロジェクションテレビも展示されている。こちらは今年の夏ぐらいに国内投入される予定だ。

また、IPSαテクノロジーでは、180Hz駆動の液晶モジュールの開発品や37V型フルハイビジョン液晶パネルを参考出品している。これらも、実際の製品化が楽しみなパネルだ。

動画解像度の高いプラズマパネルを採用する日立製作所の「Wooo」シリーズ

世界初となる42V型フルハイビジョンプラズマテレビ「TH-42PZ700」

iVDR規格のディスクが使用できるiVポケット

非常に緻密な映像に立ち止まる人も多い

倍速駆動で、液晶パネルでも動画解像度を向上させた日本ビクターのEXEシリーズ

IPSαテクノロジーが開発する180Hz駆動の液晶パネル

37V型フルハイビジョン液晶パネルも開発品を展示

唯一ホームシアターを展示するパイオニア

各社、新パネルを搭載したモデルを展示する中、唯一ブース内にホームシアタースペースを設けているのがパイオニア。50V型のフルHDプラズマモニターとS-1EXなどを組み合わせたハイエンドのシアター環境を体験できる。また同社のブースでは、先日発表された新型プラズマテレビ、「PDP-A507HX」「PDP-A427HX」も展示されている。新機種の特徴となっているのが、「新ダイレクトカラーフィルター」による映り込みの少なさ。室内照明をオン/オフした状態で、どの程度映り込みが発生するのかデモンストレーションを行っているが、新モデルでは、ほとんど影響が現れない。

また、先日発表された松下電器産業のPZ700シリーズでも、「低反射クリアパネル」の搭載により、映り込みの低減を計っているなど、プラズマテレビでは映り込み対策が大きなポイントになっていく可能性がある。

唯一、ホームシアターゾーンを展開するパイオニアブース

さて、プラズマ、液晶だけでなく、ソニーブースでは、有機ELディスプレイを搭載したテレビの試作機が展示されている。これについては別項でお伝えしたい。