SK Telecom(以下、SKT)が、中国の3G通信に対する技術協力を本格化する。
SKTは10日、ソウル市郊外の盆唐市にあるSK Telecom Access研究院において、TD-SCDMAのテストベッド開通式を行ったと発表した。この開通式には、現在韓国に訪問中の中国の温家宝首相をはじめ、情報通信部のノ・ジュンヒョン長官、そしてSKグループ会長のチェ・テウォン会長など約300人の関係者が参席した。
SKTがなぜTD-SCDMAのテストベッドを韓国に構築するのかといえば、それは同社が中国と協力関係にあるからだ。SKTでは2006年に中国の国家発展改革委員会とTD-SCDMAの開発協力に関するMOUを締結している。さらに同委員会との技術協力をさらに進めるため、2007年には中国の北京にTD-SCDMAの連合サービス開発センターを設立した。ここではネットワーク運用技術や3Gサービス、端末プラットフォームなどの研究開発が行われているだけでなく、今後は4G技術に関する共同研究も行われていく予定だ。
今回設立されたテストベッドは、北京の連合サービス開発センターとの有機的な連携を通じて、TD-SCDMA商用化を促進しかつ活性化させるため大きな役割も果たすと期待されている。
とくにこれまでCDMAやW-CDMAを運用してきた経験を持つSKTは、こうした経験を活かし、TD-SCDMAをはじめ中国政府が推進している通信技術についてノウハウを提供できると述べている。
とくにネットワーク構築および連動試験 / サーバーおよび端末プラットフォームの機能テスト / 3Gマルチメディアおよび融合型サービスの開発、といった3つの課題については、TD-SCDMAが商用化される前に点検や改善などを行っていけると見込んでいる。
SKTによると、今回構築されたテストベッドは「海外で構築された最初の試験網で、中国政府が推進している産業の海外進出モデルとして挙げられる」という。中国としてはTD-SCDMAの発展を促すのにSKTの協力は大きな助けになるといえる。
逆に韓国側としては、SKTが中国との関係を深めることで、韓国の端末や装備、コンテンツメーカーが中国市場へ積極的に進出していけるというメリットがある。中国にしろ韓国にしろお互いに影響は大きいといえる。
2006年にはチャイナユニコムへ10億米ドルもの投資を行い、2007年にはSKグループの中国現地法人を設立するなど、中国市場への積極的な進出を見せているSKT。今回のテストベッド構築で、中国との関係をより強固なものにしたといえる。