「ガジェット」がLiveで与えられた大きなは使命は広告であり、「ガジェット」は広告ビジネスを意識したアーキテクチャーだ。マイクロソフトの広告配信システム「MSN.adCenter」は、登録ユーザーの属性、ネット上での行動を把握し、分析して、効果的な広告を配信できる。今後は「ガジェット」との連携が考えられる。

さらに同社では、「ガジェット」を利用した広告による収益を、開発者にも分配するようなモデルを考えており、これも「ガジェット」とその開発者の拡大を促進する。「ガジェット」の増加は広告収入の伸長につながる。現在、日本語版の「ガジェット」は45個だが「もう一桁は増やしたい」(同)という。

一方、Liveの新たなコンテンツとして、地図情報検索サービス「Virtual Earth」が強化されている。「Virtual Earth」は米マイクロソフトの中核的な地図情報プラットフォームであり、これを一般消費者向けのWebサービスとしたのが「Live Search地図検索」だ。米国版の「Virtual Earth」では3D表示が洗練されてきており、大都市の超高層ビル群などが鮮やかな映像で再現される。さらに、斜め45度の俯角での鳥瞰図といえる「Bird's eye view」も搭載されている。

Virtual Earth 3D

Bird's eye view

同社では、「Virtual Earth」においても、「Virtual Earth Interactive SDK」とのWebサイトを設け、サンプルコード、関数リファレンスなどを用意しており、ガジェットの場合と同様、開発者が容易に利用できる点を強調、「マッシュアップがしやすい」(同事業部 サーチチームの川岸達之プロダクトマネージャー)としている。これは、幅広い分野の事業者が多様なサービスに利用できる導入路となることを意味する。

実際、米国では、不動産業者が物件を紹介するために使用したり、ホテルが周辺の見所、名所を解説、あるいは自動車、オートバイ、自転車など、道路の関連情報、つまり地図が必須の事業者が活用している事例がすでにあるという。川岸氏は「『Virtual Earth』は、地図のプラットフォームとして事業に活用してもらいたい。その場合はトラフィック課金を考えている。どのように利用するかは企業の自由だ」と話す。

マイクロソフトでは「Web2.0という言葉は使っていない」(安藤氏)そうだが、「ガジェット」では、CGM(Consumer Generated Media)的な手法が使われ、「Virtual Earth」ではマッシュアップがキーワードになっており、いずれもWeb2.0を構成する重要な思想が背景にあるようだ。Live戦略の全体像や方向性をつかむことはなかなか困難だが、まずは「ガジェット」と「Virtual Earth」が同戦略の先兵として浮上してきたといえそうではある。

マイクロソフトオンラインサービス事業部プロダクトマネージメントグループWindows liveチームの安藤浩二シニアマネージャー

マイクロソフトオンラインサービス事業部サーチチームの川岸達之プロダクトマネージャー