2カ月前、マイクロソフトは最新OS「Windows Vista」「Office 2007」を投入した。しかし、OSやアプリケーションなどのソフトは無論、同社にとって大きな事業であることに変わりはないが、いまやインターネットを通じたさまざまなサービスもまた不可欠だ。この分野の中核となるのが、2005年11月に発表された「Windows Live」だ。インターネットサービスとソフトウェアで構成される個人向けサービスで、基本的に無償であり、広告収入によって維持される――それが「Windows Live」の構想だが、当初は具体策がもう一つみえてこない面もあった。だが、ここにきて、すこしずつだが、その戦略の一端が姿を現し始めた。

「Windows Live(以下Live)」は発表時から、「MSN」との相違がわからないとの声があがっていた。マイクロソフトオンラインサービス事業部プロダクトマネージメントグループWindows Liveチームの安藤浩二シニアマネージャーは、「Liveは人と人とをつないだり、人に働きかけたり、さらにその上に何かをのせていくもの」と説明し、MSNはポータルとして存続し、Liveはサービスプラットフォームとしての位置づけであるとする。「Liveは開発者をターゲットとして意識しているが、MSNはそうではない。Liveは開発のプラットフォームでもあり、ビジネスに直結している」と語る。

時計、カレンダーなどの単純な機能を簡潔なユーザーインタフェース(UI)で提供する「ガジェット」は、Windows Vistaの目玉機能の一つだが、「ガジェット」はWindows Vistaだけのためではなく「Liveガジェット」もあり、Live上でも大きな役割を期待されている。だが、構造としては基本的に同様のものだが、サーバー上で実行させ、配信されるHTMLでUIを表示させるLiveガジェットは「ミニWebアプリケーション」だ。

同社では、ガジェットを開発するのに必要なAPIを公開、SDKを用意している。「マニフェスト」と呼ばれるXMLファイルとJavaScriptファイルを基盤に、CSSや各種グラフィックデータなど、非常に少ない要素だけでガジェットを構築できるという。「開発は簡単で、30時間で16個のガジェットを作った例もあるほど」(安藤シニアマネージャー)だ。

安藤シニアマネージャーは「ガジェット」については「まず、数が増えることを期待している」とする。「Liveの考え方は実はロングテールだ。こんな趣味を持っている人はいないだろうと考えても、ブログやSNSにより実際には大勢いることがわかったりするわけだが、ガジェットはそのあたりに適している。多様性を望んでいる」として、「ウィザードなどを用いてもっと簡単にガジェットを作れるしくみを用意していきたい。いずれ、フリーのガジェットが大量に現れるだろう」とみている。