組み込みデータベースに求められる条件
組み込み分野において、データ処理をデータベースに受け持たせる場合――つまり、組み込み分野で利用されるデータベース(組み込みデータベース)には、どのような条件が求められるでしょうか。その答えはエンタープライズ分野と組み込み分野でのソフトウェア開発との違いの中にありますが、まとめると次のようになります。
- フットプリント(インストールサイズ)が非常に小さい
- メモリの使用量を最低限に抑えている
- 機能が選択できる(各機能がモジュール化されている)
- 数値、文字列、バイナリ、地図情報(POI)など多種なデータが利用できる
- 数KB~数百GBといった幅広いデータ量に対応している
- プログラムインタフェース(API、JDBCなど)を提供している
- 汎用的なデータ操作として、SQLに対応している
もちろん、実際にはもっといろいろな機能を求められますが、組み込み機器で稼動するソフトウェアのデータ操作を受け持つミドルウェアとして、上記のような要件は必須となります。組み込み機器といっても非常に小さな機器からATMなどの大型のものまで数多くの種類があり、それぞれの環境に応じたデータ処理を必要とされます。そのため、開発する機器の機能に応じて、データベースの各機能を追加したり取り外したりできること(各機能がモジュール化されていること)なども必要となります。また、さまざまな開発言語への対応と開発生産性を高めるためにもプログラムインタフェースは重要となります。
最後に、大量のデータに対して汎用的なデータ操作を行うためにもSQL言語のサポートは必須となるでしょう。カーナビゲーションシステムなどでの利用を考慮して、地図情報(POI)への対応が求められることもあります。
それでは具体的に、組み込みデータベースとはどういうものなのでしょうか。それについては、近いうちに、皆さんにも簡単に組み込みプログラミングを楽しめる身近な組み込み機器上で動作するプログラムを作成しながら、組み込みデータベースの世界を体験できるような記事を掲載する予定です。ぜひ、お楽しみに。
著者 |
---|
日立製作所 ソフトウェア事業部 加藤 大受(かとう・だいじゅ) |